炎症性腸疾患(IBD:Inflammatory Bowel Disease)って何?
≪もくじ≫
- 消化管に慢性の炎症を起こす原因不明の疾患の総称
- 狭義には潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)を総称
- 若年層での発症が多くみられ、近年患者数は増加
- 難治性であり、症状の出る「活動期」と症状の落ち着く「寛解期」を繰り返すことが多い
- 「難病法」に基づく指定難病
- 「児童福祉法」に基づく小児慢性特定疾病
- 厚生労働省により難治性疾患の研究対象とされている
炎症性腸疾患は、就学、就労、結婚、出産などのライフイベントを控えた若年層での発症が多く見られることから、それぞれの生活スタイルに応じた治療が必要です。
【参考サイト】炎症性腸疾患とは?(Medical Note)
潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)とは…
- 大腸の粘膜にびらん(ただれ)や潰瘍(粘膜の欠損)ができる大腸の疾患
- 日本での発症年齢ピークは男性:20-24才、女性:25歳-29歳、男女比は1:1
- 日本の患者数は161,060人(H25末)、人口10万人あたり100人程度
- 特徴的な症状は、持続・反復する粘血便、下血、下痢、腹痛、貧血など
- 病変の広がりにより、全大腸炎型、左側大腸炎型、直腸炎型に分類
- 臨床経過により、再燃寛解型、満船持続型、急性劇症型、初回発作型に分類
- 治療は投薬等による内科的治療、手術による外科的治療がある
- 原因は明らかになっていない
【参考サイト】
クローン病とは…
- 口の中(口腔)から肛門に至る消化管に非連続性の炎症や潰瘍(粘膜の欠損)が起こる疾患
- 症状は小腸と大腸を中心に、特に小腸末端部に好発する
- 日本での発症年齢ピークは男性:20-24才、女性:15歳-19歳、男女比は2:1
- 日本の患者数は39,799人(H25末)、人口10万人あたり27人程度
- 症状は病変部位等によるが、腹痛、下痢、血便、貧血、体重減少など
- 合併症として腸閉塞、瘻孔(腸と他の臓器が繋がる)や痔瘻などもみられる
- 病変の広がりにより、小腸型、小腸・大腸型、大腸炎型に分類
- 治療は投薬等による内科的治療、手術による外科的治療がある
- 栄養剤による栄養療法、低残渣・低脂質・高タンパクの食事による食事療法なども併用
- 原因は明らかになっていない
【参考サイト】
2014年5月23日に成立した「難病の患者に対する医療費等に関する法律」(施行:2015年1月1日)では、難病を次の1〜4を満たすもので、指定難病はこれに加えて5、6の2条件を満たすものと定義されています
- 発病の機構が明らかでなく
- 治療方法が確立していない
- 希少な疾患であって
- 長期の療養を必要とするもの
- 患者数が本邦において一定の人数(人口の約0.1%程度)に達しないこと
- 客観的な診断基準(またはそれに準ずるもの)が成立していること
2018年4月現在、指定難病は331疾病となっています。
【参考サイト】2015年から始まった新たな難病対策(難病情報センター)